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今月の神父様のことば

† 2015年10月 †

「肉の弱さ」と共に歩む

吹田教会助任司祭 横田 志郎

パウロは、ガラテヤ人への手紙の中で「肉の望むところは霊に反し、霊の望むところは肉に反する。肉と霊とは互いに対立している。」と言っています。確かに私たちは、肉の弱さをまとった人間だからです。人間は目で見えない神の世界よりも、直接自分で感じるものに支配されやすいのです。そして、目に見えず手に触れない神に向かうよりも、自分の欲望が満たされ楽しみを得るほうに流されやすいのです。目で見えず感じられない神よりも、直接感じられる何かに自分の心や気持ちが保証されることを求めてしまいます。目に見えない永遠の神からの報いを忍耐深く待つよりも直接今すぐ満たされ保証されることを求めてしまいます。お金であったり、出世や快楽等を求めてしまいます。このような惨めな肉の欲から誰が救い出してくれるのでしょうか。同じパウロが言っています。「われわれの主イエズス・キリストを通して救ってくださる神に感謝。 

確かに私たちは洗礼によって神の子とされ、キリストの贖いにあずかっているものです。人生の歩みの中で肉と霊の間にゆれ動いている私たちです。振り子のように、右に寄ったり左に寄ったりしながら目指す神の国に向かって歩んでいかなければなりません。私たち人生の旅は巡礼の旅です。晴佐久神父様の詩に次のようなものがあります。「旅に出よう、巡礼の旅に。おのれの小ささを知り、過ちを許しあうために聖堂に行き、旅の仲間と祭壇を囲もう。自らの弱さにうちひしがれ、新しい一歩を踏み出そう。勇気を持てなくても、命のパンを食べ、感謝の祭儀をささげよう。見よ、み使いたちの舞い降る至聖所、光のさしこむ大聖堂。ずっとひざまづいていたけれど、本当は私自身が神の宿る生ける聖堂。私の人生こそ犠牲と愛をささげる永遠の祭壇。毎日が巡礼、ここが聖地。」

肉の弱さにうちひしがれる時、共にいると約束した下さったイエス様の言葉を信じ、目を主に向けて歩みつづけたいものです。パウロもコリント人への手紙の中で「私には体に一つのとげが与えられました。それは思い上がらないように、私を打ちのめすために送られたサタンの回し者です。この回し者に対して立ち去らせて下さるよう三度私は主にお願いしました。しかし、主は“お前は私の恵みで十分だ。弱さにおいてこそ力が余すところなく発揮されるのだ。”とお答えになりました。ですから、キリストの力が私の内に宿るよう、むしろ喜んで私の弱さを誇ることにします。」と言っています。この言葉を一人ひとり自分に当てはめて黙想してみましょう。

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