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† 2010年11月 †
「思い出のルルド・サンティアゴ・ファティマ巡礼」
現吹田教会主任司祭 谷口秀夫
11日間の旅でした。この季節、ルルドからピレネー山脈を越え、スペイン北部で多少の雨にあってもやむを得ないのに、全旅程が好天に恵まれたことは幸運
でした。ハイライトは、今年が聖ヤコブ年にあたるサンティアゴ・デ・コンポステラでしたが、そのほかにも多くの大聖堂を訪れることができました。ルルドか
らポルトガルのエヴォラまで、約1800キロをバスで移動したことになります。巡礼の中盤、さすがに参加者は疲れ気味になりましたが、それでも全員元気で
各地の教会巡りができました。
巡礼中、いろんな考えが脳裏を駆け巡りました。その一つは聖母マリアのご出現地であるルルドとファティマです。聖母はルルドでベルナデッタにお現れにな
り、ファティマでは3人の牧童にお現れになった。その時、彼ら以外に聖母を見た者は誰一人いませんでした。遙々ルルドとファティマまでやって来たのに、ヘ
ソ曲がりにも、それらの巡礼地よりもベルナデッタと3人の牧童の生き方の方に関心が向かいました。それというのも、ルルドもファティマも、有名な巡礼地の
然らしむるところで、門前市をなすの言葉どおり、みやげ屋とホテルが並び建ち、巡礼客でさんざめいて、想像していたほど静謐な雰囲気でなかったからかもし
れません。サンティアゴになると、ヤコブ年でもあり、もっとごったがえしておりました。聖母がご出現になった頃は、もっと鄙びた村だったろうに、と思った
からです。それに彼らの写真をじっと見ていると、聖母を見た目とはこんなひたむきな目だったんだな。いや、もしかして彼らの目は聖母の目そのものではな
かったか、と惹きつけられたからです。彼らは一様に赤貧洗うがごとき生活をし、教養とはおよそ縁遠い人々であったと言われます。聖母を見る人々の共通の特
徴はいったい何なのだろう、と考え込んでしまいました。そして、私も聖母マリアにお目にかかりたい、と。
それぞれの土地の由緒ある大聖堂で、日毎、ミサを献げることができたことは大きな恵みでした。ザビエル城とアストルガの大聖堂で、急ぎ足でミサを献げな
ければならなかったことはちょっと残念でしたが、その他の大聖堂ではゆっくりミサを献げることができました。言葉は違っても、ミサの流れは世界共通。主の
食卓において、カトリック者として共通のセンスを持ち、言葉や文化は違っても、他国の人々とひとつになる感覚を共有できたのは、普遍教会ならではの喜びで
した。しかし同時に、ヨーロッパのキリスト教文化の深み・厚みに触れ、スペインとポルトガルという地方教会の独自性も実感することができました。ことに両
国は大航海時代に新大陸から大量の金がもたらされましたので、大聖堂のバロック風の巨大な奥祭壇は金箔・金泥で覆われ、その豪壮さには圧倒されました。そ
して思ったものです。日本という地方教会がその跡を追うべきものではないな、と。カトリック性を大事にしながらも、むしろ日本人らしい独自の信仰文化を
もっと模索していかなければ、キリスト教信仰は日本人のものにならないと確信しました。それにつけて感じたことは、日本の典礼聖歌の独自性とすばらしさで
す。私たちは、もっと丁寧に歌わなければなりません。心に残る巡礼をありがとうございました。
合掌・・・
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