小さい頃、四旬節が始まった時、いつも大きな問題がありました。教会の鐘の音がバッタリ消えてしまったのです。母は「鐘はローマへ行きました」と言っていました。しかし、この説明を聞いても満足しませんでした。どうして1トンもある大きな鐘が教会の塔から出られたのかと思いました。いつ飛んでいったのか誰も見なかったのでしょうか、母は、「ご復活の時に帰ってきます」と言っていました。
お母さんは、インディアンと同じようにうそは言わないから信じていました。しかし、ローマに行く鐘とは、何と不思議なことでしょう・・・・・・・・・
どうしてローマへゆくのですか、全世界の鐘はみんなローマへ行くのですか、ローマのどこに置くのですか、40日の間何をしているんですか・・・・・・・・・。と、このむずかしい質問に母は答えるかわりに、「あなたのジャガイモを食べなさい」と言っていました。この解決のない問題を考えながらジャガイモを食べてだんだん四旬節の間に鐘のことを忘れてしまいました。
しかし、聖土曜日、急に教会の鐘が鳴り始めた時、大喜びでした。「お母さん!お母さん!ローマから鐘がもどってきたよ、聞いて、聞いて、素晴らしいでしょう!」とさけんでいましたが、「ハイ!ハイ!聞きましたよ」とあまりおどろいた様子もなく「あなたのジャガイモ食べなさい!」と言っていました。びっくりしました。この考えられない出来事の間にどうしてジャガイモの話だけをするのでしょう。大人はへんですね。私は、鳴っている鐘の音を聞きながら遅れてしまった小さな鐘が飛んでくるかどうか家の窓から教会の塔を見つめていました。
幸せだった。大喜びだった。ご復活祭はなんとも言えないお祝いだ。ローマから鐘がもどり、自分で上手に教会の塔に入ってぶら下がってカランカランとなっている。人間は、こうゆう事は絶対にできない。やっぱりイエズスさまは、さすがですね!この深い黙想をしている時に母の声が又ひびいてきました。
「さめないうちにジャガイモを食べなさい!」と。